オランの日常 ソードワールド日常掲示板
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[記事リスト] [新着記事] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

記事No : 11907
タイトル I am nobody(ある日 港湾区域)
投稿日: 2017/07/21(Fri) 23:47:50
投稿者サル

「……………」

状況についていくことができず、その場から動くことができない。


オランの港についたのは一刻程前。

船上では、小さな島から大陸の都へやってくることへ高揚感すら覚えていた。
しかし、何のことは無い。
現実は、ノラ族と毛皮取引をしている商人のツテで船の隙間に乗せてもらい、
ここまで運んできてもらっただけだ。
こうして一人きりになると、自分が何者でもない小さな存在なのだと思い知らされる。


船に乗り合わせていた人達は、互いに別れの言葉と抱擁を交わして散り散りに去っていった。
中には意気投合し、今晩酒場で合流しようと約束を交わして船を降りる人達もいたが、自分がその輪に加わることはできなかった。

船員達は、荷降ろしの指示に追われて、声をかけられる雰囲気ではなく、
勝手がわからず途惑っている間に、気づけば自分一人が取り残される形となっていたのだ。



港から出るには手続きが必要らしく、まずはその窓口を探さなければならないが、倉庫が多く猥雑なこの港ではそれも難しそうに思えた。

港の其処此処には守衛の姿があるが、
どこが通行可能で、どこが禁止区域なのかもよくわからない。

埠頭では、ガタイのいい人夫達が積荷を担いで忙しなく行きかい、
その隙間を縫って進むのも憚られた。




着いたばかりだというのに早くも後悔の二文字が頭をよぎる。

街は城壁に囲まれていて、まるで牢獄の中にいるような圧迫感がある。
石造りの建物がひしめき、石畳が敷き詰められ、樹木も生えていなければ地面も見えない。

こんなはずではなかった──。
大きな街だということは、もちろん覚悟していた。
しかし、この大きな街の全てが無機質な人工物だとは想像しようもなかった。

そして、一頻り後悔して思い出す。もう還る場所は無いんだということを。

「こんなところで挫けてちゃダメだ。 前へ進まなきゃ。
 まだ何もわかってない─。外の世界を冒険するのはこれからなんだから。」



沈みかけた気持ちを奮い立たせ、通関窓口を探す。

窓口の場所を尋ねつつ、港内をたらい回しにされてわかってきたことは、
通行証の有無や国籍などによって、手続きやその窓口が異なるということ。

オランの国民で通行証があれば、通行記録と通行税の支払いだけすむが、
商売が目的なら、荷検めや関税なども必要になるらしい。
下船後に、皆が散り散りに去っていったのは、こういうわけだったのだ。

自分の場合は、異邦人で通行証も無かったため、
その後も、さらにいくつかの屋舎をたらい回しにされることになったが、
なんとか無事、港の関門をくぐることができた。



迷走の末の情けない一歩だが、ともかく一人でやりきることができた。
誰もが当り前にできていることかもしれないが、自分にとっては、
この世界で自立して生きていく、その確かな自信となる一歩だ。

「さぁ、次は冒険者の店を探さなくちゃ。」

いい店に巡り合い、信頼を得られれば、足場を固めることができるはずだ。


港の周辺は、水運の影響からか商店が多く、市が立つように賑わっている。
港を利用する人向けの安宿も散見できるが、冒険者の店はどうだろうか。

この時期は、大陸でも日が長いようだが、港で時間を費やしてしまっている。
日暮れまでに見つけられるといいのだが─。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

かくしてオランへやってきました、よろしくお願いします。

PLとしては、5年ぶりの復帰となります。
時間的な負担から、プレイを退いていたのですが、
日常日記や軽めのセッションを中心に、細く長くのスタンスで再開できればと思っています。
初めましての方も、お久しぶりの方も、どうぞよろしくお願いします。

【 投稿者修正】


- 関連一覧ツリー (▼ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 返信フォーム (この記事に返信する場合は下記フォームから投稿して下さい)
おなまえ
Eメール
subject 入力禁止
Title 入力禁止
Theme 入力禁止
タイトル
URL 入力禁止
URL
メッセージ   手動改行 強制改行 図表モード
メッセージには上記と同じURLを書き込まないで下さい
削除キー (英数字で8文字以内)
  プレビュー

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー