オランの日常 ソードワールド日常掲示板
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記事No : 10679
タイトル リバーサイド/12:30 PM
投稿日: 2014/01/17(Fri) 01:02:25
投稿者ジャン

 入れ違いで床屋からババアが出てきた。

杖ついた腰の曲がった老人じゃあ、元気な僕がどくってのが道理だが・・・ん?

ジジイか? ジジイかもしれん。

皺っくちゃのきったねえ笑顔向けて会釈してきやがるもんだから、
僕も顔中ありったけシワ寄せてぐっしゃぐしゃに微笑んでやった。

ありゃやっぱりババアだな・・・男前になってよかったな。百まで達者で暮らせよ。
あれでリュシートよか何十か若かろうってんだから、狂ってるぜ。エルフの方がな。


「 ようオヤジ、ヒマだろ 」


散らばった白髪をホウキでまとめながら、くたばりぞこないの店主が歓迎してくれる。
準備するからそこのボロっちぃソファで待ってろって言うんだろ?ああ、わかってら。

年季の入りまくった内装を眺めながら、どうやって経営維持してんのかぼんやり考える。
通りすがりじゃ閑古鳥鳴く店にしか見えないが、通えば割と客の出入りがあるとわかる。


「今からエルフが一匹バカ面さげてやってくるけど、客じゃない。オレのツレ。」


さあどうぞ、と僕は招かれた椅子に悠々と腰掛ける。


「どうだい、程よく伸ばし放題だろう?ジミー・ペイジみたいにしてくれよ。」

えぇ、知らない?・・・なんてな!サクっとわかったとかペロっと返されたら逆にビビらぁ。
オヤジのそのさも困ったようなフリして何にも動じちゃいないスマイルが見たかっただけさ。

「じゃあ仕方ない。いつもどおり、オレによく似合うヤツで・・・ポールみたいにさ、」

ハハッ!冗談冗談。とりあえずワシワシ洗ってくれよ。いい加減かゆい。

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 櫛を通すたびに、ギャーと叫んだ。ハゲるかと思った。いや、少しハゲたに違いない。


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 キノコみたいになった。


「おい、行儀悪いぞ、栗の皮なんか捨てんな!・・・わるいなオヤジ、ホント・・・」
店主のヒトのよさにつけこむ鬼畜の輩。許せぬ。そこに直れ。ボウズにしてくれるわ!

「えっと、もみあげはぁ、残す感じで。ナナメに切らないで。そう、自然な感じで。」
それから髭剃りの準備で店主が場を離れたスキに、リュシートが隣へ座った。勝手に。


 で、ねこの童話の話を始めた。


「 そうだな。 オレもあんまり好きじゃない。 珍しく意見が一致したな。」

僕はリュシートに顔を向けることもなく、もごもごと素っ気無い感じで口にした。
別に機嫌が悪いわけじゃない。今僕の顔には蒸しタオルが乗っかっているからだ。


「 お前の言うほど深い理由の所為じゃないが、やっぱりあのねこは、普通じゃない。

数え切れないほど愛され続けて、100万回泣けるほどの恋人に出会えて、
それだってその恋人と幸せな暮らしを叶えた上で、子供まで作っちゃって。

ゆるすとかゆるさないとかはわからねえけれど、とにかく幸せ“しか”ないお伽話だ。

あんなズルい一人勝ちねこなんか早いトコくたばったらいいさ。」



「 だけどな、哀しみや痛みを知ったから、それからは優しくなれるなんて、

そんな教訓じみたこと、あの話の中でいちいち説教みてえにたれる方が蛇足なんだろうよ。
お前がそう感じたってんなら、語られずとも、まんまと受け手側で補完されるって寸法だ。

まったく良くできてるよ。こうだったら、ああだったら良いのに、そのぐらいが丁度いい。

よくわからねえ子供がどっかの教会にある絵を見に行って犬と一緒に凍え死ぬってハナシ。
そこだけ見て脊椎反射で泣いて、さぞ想像力豊かな身勝手でご都合主義なカンドーよりは、

いくらかマシだ。」



「 あいつは多分、後悔してない。ただ、全力で愛したから、命を使いきっただけの話さ 」



待たせてわるかったな、オヤジ。さあ、パリッと仕上げてくれ。


────────────────────────────────────────


   スッキリ


「 毎度ありがとよ、また来る 」

馴染みになっても礼儀正しい店主に見送られながら、僕はツレとストリートへ戻る。
つるっつるになった顔を名残惜しみ撫でながら、吹き抜ける木枯らしに身を竦める。

正直、ヒゲはあった方がラクだった。
いちいち人間のガキじゃないことを証明せずに済む。
それに、僕ら草原族は、生え揃うまでだいぶ時間が掛かるのだ。
しかし、今日はリュシートのカオをたて、清潔感を優先してやることにした。

「オレ、ハラ減ったんだけど。」

服よりも胃から温かくなりてェ。そこらの屋台でいいんだ。

「パンのガラなんかオレは別に気にしたことなんかねえが、確かに街のパンはうめーわ。

田舎に行くとうまいもんが食えるなんていうけどな、あんなんウソっぱちだね。
パンなんかひでえもんだぜ。カッチカチかパッサパサかそんなん出てくるんだ。

百姓連中はそういうモンを後生大事に食ってんだぜ。贅沢言ってられねェよな!」


眺める出店の向こうに川が見える。


「 あれで行こう 」


川にはダウンタウンへの渡し舟が、客を待っている。


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PL:

書く気になったときに書く。それがジャスティス。
最高の正月をエンジョイした。おめでとう。

古着買いに行こうぜ。ボート乗って。


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