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タイトルちいさい秋みつけた(10/15 香草亭)
記事No10577
投稿日: 2013/10/15(Tue) 15:02:41
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122
 

「……あれ」



 近頃のオランは、めっきり肌寒くなってきている。らしい。
 街行く人々が、シャツの上に上着を羽織りだした。

 ……まあおれは、常温の指輪の恩恵を、きょうもあますところなく享受しているのだけれども、

 それでも一応、こうやってチェストから、冬用の服などをひっぱりだしてみている。

 その途中で気づいた。




「……これ、ちぢんだ?」

 違うか。




 この男部屋にあるような小さな鏡には、全身なんか映りゃしない。
 それでもおれは、確かめるように、それをのぞきこむ……


 髪をばっさり切ったのも、もうだいぶ前だ。
 人間なんかがあっという間に髪もヒゲもぼうぼうになるのには正直同情するけど、エルフは違う。

 ……その上、その種族の中で、実のところおれが特異的にひときわ『チビ』で『ベビーフェイス』だったってことは、

 別に、わざわざ言わなくてもいいことだろう?



 おれは別に、毎朝入念に自分の顔をながめたりなんかは、しやしない。
 だからすっかり気づかなかった。
 鏡の中、香草亭の一室にたたずむエルフは、去年のシャツがすっかり寸詰まりになってるじゃないか?


「へえ!」


 妙に感心して、くすくすと、笑った。

 どうやら、新しいシャツと上着を注文しなきゃいけないらしい。



──────────────────────────────────────────
ロビン@PL:
ついに美少年卒業の狼煙。この歳で背が伸びたようですよ! それだけ(笑)。

【 投稿者修正】

タイトルちいさいおっさんまってる
記事No10609
投稿日: 2013/11/02(Sat) 00:19:54
投稿者ジャン


   今朝な、公園のベンチ座ってたら、パンくず渡された。



なんだかわかんないが、反射的に受け取ったもの、の ─────

ははぁ…なるほど、ハトと言う名の羽根生えたネズミに餌付けすんの飽きたから、
代わりに、やれ、ってことか?


   「 いい、いーいぃ、オレぁ間に合ってる 」


言って我ながら何が間に合ってんのか、随分すっとぼけた返答をしたもんだが、

顔を上げたら、どーしょーもなく人だけは良さそうなババァが、
そりゃもう腐りかけのマーファみてェな極上のスマイルしてやがるもんだから、

さすがの僕もネ、どうやら浮浪者だと思われてお恵みを頂戴したようだ、ぐらいの察しはつくんだ。



 パンくず? もらったさ。どうもありがとう。



 まぁ、しかたねェよ。ババー、しようがねェ。

ほつれだらけのよれっよれなセーターはまるっきりつんつるてんで、
ボッサボサで伸ばし放題のアタマに、ぼぅぼぅの髭ヅラとくりゃァ。

かるーくミニチュア・ドワーフ、ってな自覚ぐらいはございますですヨ奥さん。



 この街に帰ってきたのも、つい昨日の話。

里帰りついで、そのままぶらっぶら諸国を漫遊して、
あれだね…冒険者と言うより、トラベラーとしてのスキルが上がったね。
宿代を値切ったり、腹を壊さない屋台を見分けたり、農家に泊めてもらったりな。

心行くまでストレンジャー気分、
見知らぬ国のトリッパーを堪能しとったら ───── こんなんなっとったわ。



 と、いうような回想にふけっているのも、


「 ・・・おせえ、」


リュシートの支度を待って、だいぶ経ってるせいだ。


────────────────────────────────────────
PL:

新しいシャツと上着を買いに、街ブラする、っつう流れ。

タイトル秋の目覚め
記事No10613
投稿日: 2013/11/04(Mon) 16:17:27
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122
 
   When the night has come
   And the land is dark
   And the moon is the only light we'll see
 

 はなうたまじりで下りてきたらば、香草亭の食堂の丸テーブルで、もじゃもじゃしたちっさいのが足をブラブラさせてるのが見えた。
 
「や、おはよう、ジャン・マルクル」

 にっこり笑って近づいて。

「しばらく見なかったなあ、おかえり。
 どこ行ってたんだい」


 ──ああたしかに今朝は、いつもより早く目が覚めたせいで、チェストの中身をひっくり返したりしだしたもんだから、こうやって下りてきた時間は逆にすっかり遅くなったけどさ。
 遅い朝食にスープ(ジャガイモ抜き)とパンを注文して、ジャンの向かいにのんびり座った。
 朝メシは、食います。



 ずいぶんフリーダムにすり切れ放題のその風体を、感心しながら遠慮なくじろじろ観察して。
 へえー、グラスランナーってほっとくとこんなにヒゲ生えるんだ、知らなかった。今度、足の裏見たい。

「おれはこないだ、ちょっとした探しものの仕事したんだけど。
 なんだかこじれてきて、なにを探してるんだか途中でわからなくなったりして。

 そしたらなぜか思い出したりしてさ、森で自分がはじめて迷子になったときのこととか、」

 スプーンでスープをかきまぜながら、たあいない話。

「──まっすぐ、まっすぐに──街道を、歩いてきたこととか」



 スープだけきれいにたいらげて。
 パンはポケットにつっこんで、席を立つ。

 さてじゃあ、適当に、行こうか。



──────────────────────────────────────────
ロビン@PL:
おまたせー。
グラランて足の裏に毛生えてるんだっけ?モジャモジャー

【 投稿者修正】

タイトルシーサイド/10:30 AM
記事No10619
投稿日: 2013/11/10(Sun) 04:46:40
投稿者ジャン
   爽やかな秋のお空に、穏やかなお天道様がもうすぐてっぺんだって頃合に、だ、


「・・・メメッしぃ歌だぜ、」


 それから続いた、そりゃぁおスズしぃ相棒のトボけた御託を僕はスラァっとナガして、


「 ご伝言をコト付かって参りましたんだよネボスケヤロウ。

アーノルド商会店主危篤すぐ“戻れ”だとよ、ご本人様からだ。
あと、そこの番頭から。馬の機嫌がすこぶる悪い、って言えばわかるとよ。
来る時はアウロラと一緒に、だそうだ。で、必ず、だそうだ。」


聞いてんだかどうだか、ヒトジロジロ見ながらピロピロスープすすってやがる。
おい、僕の分はどうした。パンくずしか食ってねェぞ。右脳しか働いてねェし。


「 ───── おめェ、その仕事…、途中で、」


…ってな、僕も言えた義理じゃない。ま、長くやってりゃ、そんな気分の時もあるべェ。


 んだから、




   「 そのパンよこせ 」




付き合って、席を立つことにした。


────────────────────────────────────────

 海を眺めると、あの夏が終わったってことを、しみじみと思い知らされる。

特にこの、オランの柔らかな水面に照り返す、光のコントラストを見ていると。


「 十万人の糞尿垂れ流されてるワリにゃあ、

臭くねェもんだな…いい風吹いてるじゃねェか。」


僕はお前と違って、何かを思ってこの街に来たでも、居ついたでもない。

ないが、この街で暮らしてゆくのに、今ある以上の理由は必要なかった。


「 ジョージんとこ行ったけど、見知った顔が、だいぶ減ってた。

引退したのか、他の街に行ったのか、死んだって話は聞かなかったから幸いだ。」


流行り風邪、みたいなもんなのか。
だとしたら、僕らはだいぶ重症だってことだな。


「 ───── いや、お前に語る話じゃねえな。

お前はこれからもずっと、誰かと知り合い、見なくなって…を、繰り返してゆく。
オレは精々往生遂げても、あと150年かそこらってところだが、お前はどうよ。」


浜風に回る風車や、波のようになびく遊歩道沿いのすすきヶ原。
潮騒に時折混じるうみねこの鳴き声に目をやれば、皆砂丘の陰にうずくまっている。


「 Stand by me なんて、お前にこそ最も皮肉なジョークセンスだぜ。」


さて、じゃあこの妙な感傷気分を吹き飛ばしてくれるような“街”へと繰り出さないか。


────────────────────────────────────────
PL:

のんびり進めていこうと思っていると、本当にのんびりかかってしまう。
現実ではせかせかやっとるんですよ(笑)せかせかいろいろ。

場面を香草の外、浜辺をイメージしてぶらぶら。
夏が終わった砂浜を見下ろすペイヴメントからお送りしています。

オランを練り歩くよ。誰かとすれ違ったり、立ち話したりするかもね!

タイトルStand by me
記事No10621
投稿日: 2013/11/13(Wed) 14:19:37
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122
>「 そのパンよこせ 」

「……いいけど。そのヒゲのパンくず、落としてからにしなよ」

 カモメにつつかれてもしらないよ。




 ジャンの難癖は聞き流して、おれは上機嫌な足取りで、その歌をやめない。

   No I won't be afraid,
   No I won't be afraid
   Just as long as you stand,
   Stand by me



「こんな話、あんたとするの、はじめてだね」


 このグラスランナーは、いつもふてくされていて、へそがねじ曲がっていて、口が悪くて、感じなんか最悪だ。

 ……しょうがないから、おれがついていてやることにしようと思う。


「エルフが、だれかに向けて無邪気に、そばにいてくれと言ったとして。
 それを皮肉だと思うのは、どっちさ。
 『いまは自分にそう言うけど、50年100年後には、違う相手に向かってそう言うんだろう』って、勝手に思うのは」


 たぶん、こいつがどんなに口汚くなにかをののしっても、おれはのんびり適当に聞き流す。
 こいつを擁護もしやしないけど、勝手にやらせる。
 ……くたびれた中年のおっさんなんて、そんな風にするしかないだろう?


「あんたが150年だとかおれは何年だとか、その理論ならさ。
 あんたの方がおれに向けて言うんなら、ちゃんと成立するってことだね。
 ためしに言ってみる、ジャン?」

   So darlin', darlin',
   Stand by me,
   Oh stand by me
   Stand by me, stand by me

 もじゃもじゃに向けて、笑った。


 こいつが、呆れるくらいにひねくれまくってるから。
 おれは、こいつの前ではひねくれなくてもいいんだって、気づいたんだ。




「シャツだよ! 新しいシャツがほしい。
 オーダーメイドもいいけど、どこのだれが着てたともわからない古着も悪くないね。
 まあその場合たいてい、男物はサイズがあわなくてさ、女物になっちまうんだけど」

 ジャンに向けて、熱っぽく語った。

「この十万人分のシャツの眠る街で、おれに着られるのを待ってるシャツが、どっかにあるはずなんだ。
 そいつをみつけてやらなくちゃ」


 それも、大至急、今日中にってわけだ。
 ──アウロラと一緒に病人のもとにかけつけるにしろ、みっともない格好じゃ行けない。


「……あとは、まあ。
 あんたも、自分の新しいセーター、見つけたら?」

 背中に虫食いの大穴あるぜ。
 カモメにでも、つつかれたみたいな。



──────────────────────────────────────────
ロビン@PL:
ええええーっ、そんな伝言聞かされたら新しいシャツどころじゃありませんが、
まあなんとかしよう。なんとかなったたぶん。

【 投稿者修正】

タイトルメインストリート/11:15 AM
記事No10625
投稿日: 2013/11/16(Sat) 23:08:00
投稿者ジャン
 一際強いオンショアが、砂を巻き上げて鳥たちを散らす。

追うように見上げた空は高く、すじ雲が幾重も棚引いていた。



 「そいつは、それが叶わないことを知っているヤツの歌さ。」



だから何度も、嘆願するように、叫ぶように、リフレインするんだ。


 「 大事なのは、そばにいる、ってことだけじゃない 」


そうだろう?そう思わなきゃ、僕たちはずっと生きて行くなんて、拷問だ。
耐え難い別れを幾度も繰り返すぐらいなら、100万回泣いて、そして死ぬさ。


「 試す必要はない。

それが千年分の一日だとしても、きっとオレの一生分に値するだろうよ。」



   その歌は、きっとレクイエムだ。



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────────────────────────────────────────


「女モンどころか、オレなんかコドモサイズだからな、ろくなもんありゃしねえ!」


目抜き通りの両脇にひしめくブテックだの仕立て屋だの、丸っきり用無し揃いだぜ。
それよりもメシ屋の方が気になって仕方がねえや。この街のいい所はやっぱメシだ。
昼前ともなれば、こうしてそこらじゅうの準備中からプンプンええ臭いさせやがる。

「即席フードはどこの国もまあまあ食えないこたなかったけどな。
多少スパイスが利き過ぎで、味がバカになってるきらいはあったが、
何を食っても豆、マメ、まめづくしの仕打ちに比べたら、ずっと天国だった。
肉やら卵やらは風味でなんとなくもとの想像もついて気にならなかったが、
魚はバクチだったな。もとのカタチを知らない方が幸せな場合も多かった。
調味料の合う合わないはもう慣れるしかなかったが、発酵系の食い物はもう・・・」

うんぬんかんぬんとオランの味に飢えていたことを熱く語る。


「古着なあ…お前は小洒落ようもあんだろうが、ガキのお古なんかまっぴらだな。」

このセーターだって買った時はそりゃあ上等な…虫食い?

「違う違う、虫食いじゃない。刺された跡だ。こないだ酔っ払いに刺された。」

ああ…あぁ、そうだな。さすがに買い替えだな。みっともねえ。
石畳を行き交う人々を改めて見直せば、なるほどオータム・コレクションの装い。
ほぅ、あのコートなんか肩や襟元のエッジが立っててパリッとしてんなァ・・・

「じゃあさ、ついでにオレの服も買ってきてくれよ。
着れりゃどんなんでもいいけど、チクチクしないやつがいいな。」

このセーターもそれが気に入って買ったんだ。着心地が一番大事だ。
着心地なら一緒に来い?とりあえずお前が着てみて大丈夫だったらそれでいいよ。

「ならよ、いいのなかったら古着探しにダウンタウン行こうぜ。」

いい感じにこなれて着やすくなっとるってのもあっからな。
お前の言う、その運命的なシャツってのがしっくりくるまで探したらいい。


 じゃ、


「オレぁちょいと散髪行ってくらぁ。

ムディールじゃ酷い目にあったぜ。散髪しようと思ったら道端でやるってんだよ。
船乗りとか貧乏旅行者相手の床屋で、安いから別にいいっちゃいいんだけどな・・・

お顔も剃るかっつうから、おうよ頼むわ、って出てきた剃刀がどうもこうもアレよ。
とてもじゃないがまともに研いでんだかどうだかわかんねえようなボロ刃でよ、
オレの玉のような肌にそんなもん当てられたんじゃかなわんからよ・・・」

うんぬんかんぬんとヒゲ面のくだりを話しているうちに、


「じゃそこ行ってくるわ。それでそこで待っとる。」


馴染みのジージーがやっとるバーバーに着く。

────────────────────────────────────────
PL:

コーディネイトしてくれよ!

パリッと散髪してくる。

タイトルオ・シャンゼリゼ
記事No10629
投稿日: 2013/12/05(Thu) 10:03:36
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122
 

> 「そいつは、それが叶わないことを知っているヤツの歌さ。」


 ──おれはそこで初めてくしゃっと眉根をよせて、

 それでも他人事みたいな顔で笑ってうなずきながら、──その歌をやめない。



 そうさ、わかってる。よくわかる。


 あんたはひねくれたリアリスト、おれはメメっしぃロマンチスト。
 全然、似てやしないけど。


 あんたもおれもわかってて、それでもおれは、楽しげにこの歌を歌うのをやめない。




> 「 大事なのは、そばにいる、ってことだけじゃない 」

「それが、あんたたちグラスランナーが、長い長い名前を名乗ってやってく理由?」



 ジャンの最後のセリフに、おれはまたとても満足げに、笑って。

「じゃあ行こうか」

 千年分の、きょう一日。



  *  *  *


 エルフは肉を食うのか、大真面目に質問されたことがある。それも一度や二度のことじゃない。
 しかもそういう連中には草はエルフの親戚に見えるらしい。じゃあエルフはなにを食えというのか。

「へえー、豆」

 うんうんと適当に相づちをうちながら。

「おれだって、街道通って西からのこのこ歩いてきたわけだけど。
 エルフなんかどこだって、通りすがりのすましたお客さん扱いでさ。
 そういう土着のもの食わされたためしなんか、ほとんどないなぁ」

 ……しかし、そもそも食い意地とかにまったく縁がないのも、ほんとうで。
 なにを食っているのかと聞かれどう返答すべきか、自分でもよくわからないくらいだったり……
 なので、今度なんかうまいの教えて、なんていう社交辞令などこの口が言うわけもなく。

「……あ、でも、パンは好きだな、パン。さっきあんたにあげたやつ、どうだった?
 パン・ド・カンパーニュって、きれいな粉の渦巻き模様がついてるだろ、なんであんなのがつくのかこないだ知ったんだ。
 籐を丸く編んだ籠に粉をふって、そこにパンの生地をいれて発酵させるんだって。そのときにね、籠の編み目通りにあの模様がつくんだよ。
 表面の切れ目は、中心から十字がいいね、絶対。
 ああ、あんたの言う通り、たしかにオランはいいもんだね、なんたっていろんなパンがある」

 一致した。


> 「違う違う、虫食いじゃない。刺された跡だ。こないだ酔っ払いに刺された。」

 そこは思いっきり引いた顔をしてやった。

「……おれたちおたがい、どんなにはいつくばったって、生命の精霊にも神々の奇跡にも見放されてる身じゃないか。
 せいぜい、自分のイノチは自分で大事にしといてくれ」


  *  *  *


 マロニエの並木が、北風に揺れて枯れた葉をふるわせる。
 夏の間通りにずらりと並んでいたカフェのテーブルは、もうすっかり片付けられてしまった。


「セーターねぇ。
 そういうのは着たことも買ったこともないな。森に羊はいないから。
 いいよ、わかった、おれが選んであげるよ」

 安請け合いをして、

「その代わりに、あんたの散髪するところ、見てていい?」

 そのもじゃもじゃでボサボサでこんがらがってるのがどう処理されてゆくものか、すごく興味ある。

「そこで焼き栗買ってくから、先行ってて」

 通りの向こうには、冬になるとあらわれる、焼き栗売りの手押し車。



──────────────────────────────────────────
ロビン@PL:
お待たせしましたごめんなさい……日々に忙殺されておりました……あせってもしょうがないよくない。

バヌトンていうパン発酵専用籠、うんそうわたしもさっき知ったクックパッドで(笑)。ほしくなんか……!(笑)
焼き栗もぐもぐしながらキミがサッパリするところ眺めてるよ(物好き
マッシュルームカットとかいいんじゃないの。
さっぱりしたら服見に行こう。

【 投稿者修正】

タイトル100万回のおはなし
記事No10652
投稿日: 2014/01/01(Wed) 01:52:36
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122
 茶色くて丸い栗の殻にはナイフで切り込みが入れてあり、黄色い身が顔を出している。
 床屋のゆかは切った髪でいっぱいだから、むいた栗の殻もそこらに気軽に放り捨てる。具合がいいや。

 ちゃきちゃきいうハサミの音と、ぱきぱきいう栗むきの音の、ハーモニーも悪くない。
 栗はたんまりと買ってきたから、ジージーでもバーバーでもいくらでもお裾分けするともさ。



「……100万回生きたなんとか、って話があるだろう」

 足高の床屋の椅子(空席)に、図々しくまたがって。

「おれは、あれがあんまりすきじゃない」

 さっきの話のつづきのような、そうでないような、とつぜんのそんな話。



「1匹のねこが、1回分の命を生きてそして死んだ、それでおしまい。それだけの話だ。
 あのねこは、ただのねことなんにも変わらない。
 ほかと違うっていうんなら、100万回死んだねこだってことだけ」


「あいつが、最後にとうとう100万回泣いて──いままでの999999人の飼い主の涙を、いまの自分の悲しみに重ねて思い出したって言うんなら。
 ようやく知ることができたのに、後悔して泣いて、それっきり死んでおしまいだなんて────」


 最後に、あのねこが死ねたことに、観客たちは安堵する。
 きっとみんな、あのねこをゆるすんだろう。だってみんな、あいつがすきなんだから。

 それを、ゆるすべきじゃない、っていうわけじゃないんだ。
 そうじゃなくて、────


 ……ゆるされるからこそ。
 あいつは、生きなきゃいけないんだ。



「100万回生きたねこ、っていうんなら。
 そっから100万回生きてみろってんだ」

 そうしたら、100万回分の愛情を、今度は間違うことなく、だれかに与え、交わすことができたんだ。




──────────────────────────────────────────
ロビン@PL:
あけましておめでとう!
床屋と仕上がりの描写はおまかせ。
こっちはつぎは、セーターとの邂逅シーンの予定です。

タイトルリバーサイド/12:30 PM
記事No10679
投稿日: 2014/01/17(Fri) 01:02:25
投稿者ジャン
 入れ違いで床屋からババアが出てきた。

杖ついた腰の曲がった老人じゃあ、元気な僕がどくってのが道理だが・・・ん?

ジジイか? ジジイかもしれん。

皺っくちゃのきったねえ笑顔向けて会釈してきやがるもんだから、
僕も顔中ありったけシワ寄せてぐっしゃぐしゃに微笑んでやった。

ありゃやっぱりババアだな・・・男前になってよかったな。百まで達者で暮らせよ。
あれでリュシートよか何十か若かろうってんだから、狂ってるぜ。エルフの方がな。


「 ようオヤジ、ヒマだろ 」


散らばった白髪をホウキでまとめながら、くたばりぞこないの店主が歓迎してくれる。
準備するからそこのボロっちぃソファで待ってろって言うんだろ?ああ、わかってら。

年季の入りまくった内装を眺めながら、どうやって経営維持してんのかぼんやり考える。
通りすがりじゃ閑古鳥鳴く店にしか見えないが、通えば割と客の出入りがあるとわかる。


「今からエルフが一匹バカ面さげてやってくるけど、客じゃない。オレのツレ。」


さあどうぞ、と僕は招かれた椅子に悠々と腰掛ける。


「どうだい、程よく伸ばし放題だろう?ジミー・ペイジみたいにしてくれよ。」

えぇ、知らない?・・・なんてな!サクっとわかったとかペロっと返されたら逆にビビらぁ。
オヤジのそのさも困ったようなフリして何にも動じちゃいないスマイルが見たかっただけさ。

「じゃあ仕方ない。いつもどおり、オレによく似合うヤツで・・・ポールみたいにさ、」

ハハッ!冗談冗談。とりあえずワシワシ洗ってくれよ。いい加減かゆい。

────────────────────────────────────────


 櫛を通すたびに、ギャーと叫んだ。ハゲるかと思った。いや、少しハゲたに違いない。


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 キノコみたいになった。


「おい、行儀悪いぞ、栗の皮なんか捨てんな!・・・わるいなオヤジ、ホント・・・」
店主のヒトのよさにつけこむ鬼畜の輩。許せぬ。そこに直れ。ボウズにしてくれるわ!

「えっと、もみあげはぁ、残す感じで。ナナメに切らないで。そう、自然な感じで。」
それから髭剃りの準備で店主が場を離れたスキに、リュシートが隣へ座った。勝手に。


 で、ねこの童話の話を始めた。


「 そうだな。 オレもあんまり好きじゃない。 珍しく意見が一致したな。」

僕はリュシートに顔を向けることもなく、もごもごと素っ気無い感じで口にした。
別に機嫌が悪いわけじゃない。今僕の顔には蒸しタオルが乗っかっているからだ。


「 お前の言うほど深い理由の所為じゃないが、やっぱりあのねこは、普通じゃない。

数え切れないほど愛され続けて、100万回泣けるほどの恋人に出会えて、
それだってその恋人と幸せな暮らしを叶えた上で、子供まで作っちゃって。

ゆるすとかゆるさないとかはわからねえけれど、とにかく幸せ“しか”ないお伽話だ。

あんなズルい一人勝ちねこなんか早いトコくたばったらいいさ。」



「 だけどな、哀しみや痛みを知ったから、それからは優しくなれるなんて、

そんな教訓じみたこと、あの話の中でいちいち説教みてえにたれる方が蛇足なんだろうよ。
お前がそう感じたってんなら、語られずとも、まんまと受け手側で補完されるって寸法だ。

まったく良くできてるよ。こうだったら、ああだったら良いのに、そのぐらいが丁度いい。

よくわからねえ子供がどっかの教会にある絵を見に行って犬と一緒に凍え死ぬってハナシ。
そこだけ見て脊椎反射で泣いて、さぞ想像力豊かな身勝手でご都合主義なカンドーよりは、

いくらかマシだ。」



「 あいつは多分、後悔してない。ただ、全力で愛したから、命を使いきっただけの話さ 」



待たせてわるかったな、オヤジ。さあ、パリッと仕上げてくれ。


────────────────────────────────────────


   スッキリ


「 毎度ありがとよ、また来る 」

馴染みになっても礼儀正しい店主に見送られながら、僕はツレとストリートへ戻る。
つるっつるになった顔を名残惜しみ撫でながら、吹き抜ける木枯らしに身を竦める。

正直、ヒゲはあった方がラクだった。
いちいち人間のガキじゃないことを証明せずに済む。
それに、僕ら草原族は、生え揃うまでだいぶ時間が掛かるのだ。
しかし、今日はリュシートのカオをたて、清潔感を優先してやることにした。

「オレ、ハラ減ったんだけど。」

服よりも胃から温かくなりてェ。そこらの屋台でいいんだ。

「パンのガラなんかオレは別に気にしたことなんかねえが、確かに街のパンはうめーわ。

田舎に行くとうまいもんが食えるなんていうけどな、あんなんウソっぱちだね。
パンなんかひでえもんだぜ。カッチカチかパッサパサかそんなん出てくるんだ。

百姓連中はそういうモンを後生大事に食ってんだぜ。贅沢言ってられねェよな!」


眺める出店の向こうに川が見える。


「 あれで行こう 」


川にはダウンタウンへの渡し舟が、客を待っている。


────────────────────────────────────────

PL:

書く気になったときに書く。それがジャスティス。
最高の正月をエンジョイした。おめでとう。

古着買いに行こうぜ。ボート乗って。

タイトルひとさらい
記事No11364
投稿日: 2014/12/30(Tue) 11:18:50
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122
 ジャンによる、ねこの話について。

「ほんっとひねくれてるなあ!」

 いまの聞いたかいご主人? と大仰に振り返って勝手に床屋に同意を求める。

「おれの言ったゆるすゆるさないってのは、別に罪だの罰だのの話じゃあない。
 ──不器用な男の我侭を懲りない女がゆるしちまう、そんなようなことだよ」

 どうなんだ、そう言われてもあんたは知らん顔かい、ジャン・マルクル?
 笑いながら、蒸しタオルをめくって、その顔を確かめるようにのぞきこんでやった。

 そのついでに、食う?と、口にそっとむいた栗をつっこんだ。




 モジャモジャは、つるつるのすべすべのぴかぴかになった。素晴らしい手際の職人技だ。

「へえええええ」

 キノコかドングリという感じ──ああ、さっきの丸まるとした焼き栗にそっくりだな。

「ああ、すごくいいね。やっぱり薄汚いのはよくない。
 こどもに間違えられるって? でも貧相なドワーフもどきよりずっといい」




>「 あれで行こう 」

 王都オランは、真ん中を流れるハザード川によって東と西に大きく分断されている。東と西を行き来するには2本の橋か渡し船を使う。それ以外にも船は便利だ。歩かなくてすむ。
 ──そんなことは当然のことで、船のある風景はこのオランじゃただのあたりまえのものだ。

『船って』

 だからおれはジャンと一緒に乗り込んだゴンドラに、ごくあたりまえに揺られながら、

『どこまでも行けるじゃないか。
 道には終わりがあるのに』

 まるで、後ろめたくゴンドリエーレの目を盗むかのように、エルフ語でぽつりとささやいた。

『もしゴンドリエーレが人さらいだったら、って想像したこと、ない?』

 実際のところおれは、
 人をさらうような悪党が怖いのじゃなくて。

『……そうだったらいいのに、なんでそうじゃないんだろう、って』

 いつも、ほんの少しがっかりするから。
 だからおれは、渡し船は苦手なんだ。
 そんな告白。




──────────────────────────────────────────
ロビン@PL:
……!
書きかけだったテキストが出てきました。
まあたぶんいいんじゃないかな、1年越し2年越しの日常てのも。
ぼくらSWWWの問題児ってことで(*ノノ


渡し船と言われてもこう長いことイメージがピンとこなかったんですけれども
ゴンドラって呼べばよいのだと気がつきましたよ。オーソレミーオ。
そしてわたしはタクシーがちょっと苦手ですがべつにこんな理由ではないです(笑)

セーターのところはまだ書きかけなんだけどこれだけ投稿してみる。

タイトルGUERNSEY SWEATER
記事No11365
投稿日: 2014/12/30(Tue) 13:51:56
投稿者リュシート
参照先http://swordworldweb.net/cgi/pc_list/read.cgi?no=122

 北方の諸島に暮らす漁師たちがむかしからずうっと着ている、彼らのセーターの話を聞いた。


 それは、氷のような海風と波しぶきから身を守り、危険と隣り合わせの船上の活動のさまたげにならない、海の男たちの労働着。
 そしてそれを編み上げるのは、彼らを送り出し、ひたすらに無事を祈りながら待ち続ける、彼らの妻や母たち。

 それは、細い編み針と濃紺の毛糸で、みっしりとした細かい地紋模様を描きながら編み上げられる。模様を入れるのは、その分生地が厚くなって暖かさが増すから。
 それだけじゃない。長い伝統の中でいつしかその模様は個々の家族や村の独自のパターンを持つようになり──海で命を落としもの言わぬ身となってしまった漁師の、その生まれ故郷を明らかにするのだという。


 いまでは、大きく浮き出た鎖模様なんかのある乳白色のセーターを、伝統のフィッシャマンセーターなんて売り文句で呼びまわる商人もいるけれど。
 実際本物の漁師は、仕事の最中にそんなものは着ないのだそうだ。白いのなんてあっという間に汚れるし、ふわふわした飾り編みは船具にひっかかっちまうから。


 ……ただねえ。そういう『本物の』海の男のセーターは、残念ながらこのオランでも、なかなか手に入るものじゃない。
 それはもともと売って金にするためじゃなく、家族のために作られるものだから。
 ほころびれば丁寧に修繕し、あるいは糸をほぐして編み直され──持ち主がいつか命を全うし土に還るときに、一緒に埋葬される。それは、海の男として生まれ生きた、彼らの皮膚のようなものなのだという。




「これは、少年用だねえ」

 まだ半人前の息子を、それでも海に送り出さねばならなかった母親が、どこかにいたのだろうか。
 でも、一目一目丁寧に編み上げられた濃紺のセーターは、綺麗なままだ。まだだれも袖を通したことがないようにすら見える。

 古着屋の店頭で。

「これにしなよ、ジャン。
 こいつはきっと、あんたを待ってたのさ」




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ロビン@PL:
「海の男たちのセーター 英国伝統ニットの旅」って本が、ものすごくおもしろかったので。
まあ読んだのも1年前なんですけど……