投稿者: ハク
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今回も無事、奈落を消滅させ帰還してから、数日。
冒険者の店を覗いては見るも、手頃な仕事は見当たらず、ならばと暫くは休養に当てることにした。
いざという時、万全の力を出し切れるよう、休めるときにはしっかりと休むことも戦士には大事なことだ。
散歩がてらに街をゆっくりと歩く。
やはり、都市だけあってその喧騒も活気に満ちたものだ。
部落は、もっと静かだった。
生まれた子供の過半数が戦士として育つというと、血の気が多い印象を受けるようだが、実際はそうでもない。
部落全体が、樹神ダリオンの教えに基づくものだからだ。
信仰を強制はされないが、周りがそうであれば自然と同じように育つ。
俺も、神の声を聴くことはなかったが、彼の神の教えを尊いものだと感じてはいる。
「戦士の力は無暗にひけらかすものに非ず。常に冷静に、思慮深くあれ」
「若人を守り導け。それこそが、大人たるものの責務である」
「平穏に、自然と共に生きよ。それを侵すものにこそ、研いだ刃を振るうべし」
部落に生まれたものは必ず教わることだ。
そして、これを理解しないものは一人前とは決して呼ばれない。当然、戦士であるとも。
……懐かしい。
胸を占める郷愁に、遠いかの地を想う。
場合によれば、二度とその土を踏むことは叶わない場所。
無論、――無様に、そうなるつもりはないが。
ふと、足を止めていたことに気づき、踏み出そうとして前方にある店に気づいた。
冒険者用の品を扱っているようだが、随分と垢ぬけた雰囲気だ。
普段なら近寄らない系統の店だったが、今日は時間もあることだし、立ち寄ってみることにする。
つい先日、耐久力を補強する効果のある装備品の話を冒険者仲間から聞き、薦められたばかりだ。
守りを担う俺の耐久力が上がることは、確かにPT全体の安定化に繋がるだろう。
流石、都会には便利なものがあると感心したものだが、この店にはおいているだろうか?
そういえば、新しい眼帯も買わなければならなかった。
流石に毎日布を巻くのは手間だ。戦闘中にずれ落ちる懸念もある。
店内に足を踏み入れると、外観どおりこ洒落た印象を受ける。
……俺は場違いかもしれない。
踵を返すことを考えた矢先、しかしながら、店員から声をかけられてしまった。
仕方ない、と開き直って求める品について尋ねてみる。
幾つかの種類があるようで、案内を受け、比較的落ち着いたデザインのものを選んだ。
応急的に撒いていた布を外し、新しく購入した眼帯をつける。
丈夫でよい仕立てだ。ずれにも強そうであるし、良い買い物だったか。
店を後にしようとして、小さな黄色い花飾りが目に入った。
この花は、以前に見たことがある。
と、昔、意外とロマンチストであった部隊長――身の丈以上の斧槍を振り回す女傑であった――が、
色々とうんちくを語っていたことを思い出した。
半ばは忘れてしまったが、確か、「無邪気さ」、人に贈る際は「信頼」や「親愛」感を示すのだという。
「――…」
そこまで思い出した時、頭に浮かんでいたのは、もう部隊長の姿ではなかった。
いつも、明るく真っ直ぐな彼女。この花は彼女によく似合う。
そういえば、菓子の礼をまだしていなかった。
髪に飾るには同色で少し目立たないだろうが、何かに合わせれば……先ほど見た組み紐なら良さそうだ。
あの組み紐も、故郷の織りに少し似ていて懐かしいものだった。
店員に話をすると、1日あれば職人による加工が可能だということだ。有り難い。
俺は代金を支払い、加工を頼んで店を出た。
うむ、よい買い物ができた。
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(PLより)
「伐採」卓前になんとか間に合いました(笑)
「奈落戦線2話」よりは後、「伐採」卓よりは数日前ぐらいのことのイメージです。
プレゼントの裏側のエピソード^^
絡み自由、突大歓迎です^^
遅レスですが、どうぞよろしくお願いいたします。