[21] 散歩と買い物(12月上旬昼間、商店街)

投稿者: ハク
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=34&ukey=1

今回も無事、奈落を消滅させ帰還してから、数日。
冒険者の店を覗いては見るも、手頃な仕事は見当たらず、ならばと暫くは休養に当てることにした。
いざという時、万全の力を出し切れるよう、休めるときにはしっかりと休むことも戦士には大事なことだ。
 
散歩がてらに街をゆっくりと歩く。
やはり、都市だけあってその喧騒も活気に満ちたものだ。
 
 
部落は、もっと静かだった。
生まれた子供の過半数が戦士として育つというと、血の気が多い印象を受けるようだが、実際はそうでもない。
部落全体が、樹神ダリオンの教えに基づくものだからだ。
信仰を強制はされないが、周りがそうであれば自然と同じように育つ。
俺も、神の声を聴くことはなかったが、彼の神の教えを尊いものだと感じてはいる。
 
「戦士の力は無暗にひけらかすものに非ず。常に冷静に、思慮深くあれ」
「若人を守り導け。それこそが、大人たるものの責務である」
「平穏に、自然と共に生きよ。それを侵すものにこそ、研いだ刃を振るうべし」
 
部落に生まれたものは必ず教わることだ。
そして、これを理解しないものは一人前とは決して呼ばれない。当然、戦士であるとも。
 
 
……懐かしい。
胸を占める郷愁に、遠いかの地を想う。
場合によれば、二度とその土を踏むことは叶わない場所。
無論、――無様に、そうなるつもりはないが。
 
 
ふと、足を止めていたことに気づき、踏み出そうとして前方にある店に気づいた。
冒険者用の品を扱っているようだが、随分と垢ぬけた雰囲気だ。
普段なら近寄らない系統の店だったが、今日は時間もあることだし、立ち寄ってみることにする。
つい先日、耐久力を補強する効果のある装備品の話を冒険者仲間から聞き、薦められたばかりだ。
守りを担う俺の耐久力が上がることは、確かにPT全体の安定化に繋がるだろう。
流石、都会には便利なものがあると感心したものだが、この店にはおいているだろうか?
そういえば、新しい眼帯も買わなければならなかった。
流石に毎日布を巻くのは手間だ。戦闘中にずれ落ちる懸念もある。
 
店内に足を踏み入れると、外観どおりこ洒落た印象を受ける。
……俺は場違いかもしれない。
踵を返すことを考えた矢先、しかしながら、店員から声をかけられてしまった。
 
仕方ない、と開き直って求める品について尋ねてみる。
幾つかの種類があるようで、案内を受け、比較的落ち着いたデザインのものを選んだ。
応急的に撒いていた布を外し、新しく購入した眼帯をつける。
丈夫でよい仕立てだ。ずれにも強そうであるし、良い買い物だったか。
 
 
店を後にしようとして、小さな黄色い花飾りが目に入った。
この花は、以前に見たことがある。
と、昔、意外とロマンチストであった部隊長――身の丈以上の斧槍を振り回す女傑であった――が、
色々とうんちくを語っていたことを思い出した。
半ばは忘れてしまったが、確か、「無邪気さ」、人に贈る際は「信頼」や「親愛」感を示すのだという。
 
「――…」
 
そこまで思い出した時、頭に浮かんでいたのは、もう部隊長の姿ではなかった。
いつも、明るく真っ直ぐな彼女。この花は彼女によく似合う。
そういえば、菓子の礼をまだしていなかった。
髪に飾るには同色で少し目立たないだろうが、何かに合わせれば……先ほど見た組み紐なら良さそうだ。
あの組み紐も、故郷の織りに少し似ていて懐かしいものだった。
 
店員に話をすると、1日あれば職人による加工が可能だということだ。有り難い。
俺は代金を支払い、加工を頼んで店を出た。
 
 
うむ、よい買い物ができた。


*********
(PLより)
「伐採」卓前になんとか間に合いました(笑)
「奈落戦線2話」よりは後、「伐採」卓よりは数日前ぐらいのことのイメージです。
プレゼントの裏側のエピソード^^

絡み自由、突大歓迎です^^
遅レスですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

[22] 邂逅

投稿者: ラティーナ・ルベライト
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=14&ukey=0

 奈落を消滅させてから数日が経ち、私はハーヴェスに戻ってきていた。
今回も大変な冒険だったから少し、休むのもいいかもしれない。最近冒険者の仕事で大分お金も溜まってきたし、両親へ何かプレゼントするのもいいかもしれないなぁ…

「そうと思ったら、行動あるのみ!」

散歩していたその足を止め、その足を商店街がある方へと進める。
商店街へと近づくにつれて人が多くなってきた。いつも通っている商店街なのに今日に限って少し違和感があるように感じた。なんでだろう?

その正体はすぐに気が付いた。人ごみの中に見覚えのある後ろ姿があった。

「あれは…ハクさん?眼帯は…あっ…そっか、私が持ってたんだ。」

今はほとんど物が入っていない背負い袋、そこから送還前に彼からもらった眼帯を取り出し、その後ろ姿を無意識に目が追いかけている。
そして気が付くころには私の足も後ろ姿を追いかけていた。


追いかけてはみたが、見失ってしまい、親へのプレゼントのことも忘れて帰ろうとしたところ、冒険者向けの店から出てくる眼帯をつけたハクさんを見つけました。気が付けば傍に駆け寄っていて、

「ハクさん、こんにちわ!お買い物ですか?」

あれから日はそんなに経ってないのに、すごく久しぶりな感じがする。
何だろう…この気持ち…
あの時のお菓子作りの時から私、何か変な気がする。
と、とりあえず、不自然にならないように振舞わなきゃ…

「えっと…ハクさんが良ければでいいんですけど、ついていって……いいですか?」

って、何言っているんだろう私!?これじゃ…まるでデートしようとしてるみたいじゃない!?
あれ?何だか体が熱くなったような気がする……

*****
PL:音紅より

参加させていただきますね〜
恋を知らなかった純粋狐、奈落前線で作ったお菓子はラティ自身は無意識のうちに作ってましたw(無意識って怖いねw)
今までは仲間としてすごく頼りがいのあるお兄さんって感じで、今は…おっとこの先のことは神のみぞ知るってやつですよw(違うそうじゃない)

[23] あたたかい時間

投稿者: ハク
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=34amp;ukey=1

>「ハクさん、こんにちわ!お買い物ですか?」

店を出てすぐ、掛けられた良く知る声に足を止めた。

「ラティ」

駆け寄ってくる姿は、つい先ほどまで思い浮かべていた姿に相違なくて、何やら少々面はゆい心地にもなるが。
それを上回る喜ばしさも同時に込み上げ、自然と目元が緩むのが自分でも分かった。
見上げてくる彼女の息は少しはずんでいる。大分長く外にいたのか、鼻の頭も僅かに赤い。

微笑ましい。
そう思った時にはもう、小さく笑いが零れている。

「そんなに慌てなくとも、声をかけられれば逃げはしない」

つい、いつものように柔らかな髪を撫でながら言葉を返した。
無意識なのかどうか、心地よさげにごく僅かに目を細める様子に、温かいものが満ちていく。
ああ、だが。髪も随分冷えているな。

「散策中だ。買い物は、目に留まったので耐久力を上げられる品などを少しな。護り手が倒れれば戦線が崩れる」

続けて先の質問に答えつつ、荷から先程畳んだばかりの長布を取り出した。
彼女の首元に緩く巻きつけていく。
専用の防寒具には及ばなかろうが、布一枚あるか無いかだけでも違いはあるだろう。

「それと、最近は冷えるからな。外を歩く際には十分暖かくした方がいい」

その後少し、彼女があたふたとした様子であったように見えたのが、俺の自惚れでないならばいいのだが。



>「えっと…ハクさんが良ければでいいんですけど、ついていって……いいですか?」

そんな彼女の嬉しい申し出で、散策の続きは二人ですることになった。
無論、俺に否やがある訳がない。
明るい街並みの中を二人でゆっくりと歩いていく。
会話は多くはないが、穏やかな時間だ。


「とはいえ、別段目的があったわけではないからな。ラティの方は、どこか行きたいところはないのか?」

元々の目的などは? と、ふと水を向けてみた。
何かあるなら、ラティの用向きに付き合うのも悪くない。



*******
(PLより)
ご参加有難うございます^^
製・糖☆ わーい(笑)
「首に巻くもの」を贈るのは流石に現時点では重いけど、ただの布なのでセーフですね!!(ぇ
 

[24] 恋心と安心感

投稿者: ラティーナ・ルベライト
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=14amp;ukey=0

>「ラティ」

「は、はい!」

名前を呼ばれて思わず、声が裏返っちゃった。

>「そんなに慌てなくとも、声をかけられれば逃げはしない」

その言葉は私を安心させてくれる。
ハクさんは前回の奈落攻略の為に奔走してた時から私と話すときに私の髪を撫でてくれるようになっていた。
それにあの時から優しい顔することも増えた気がする。

>「散策中だ。買い物は、目に留まったので耐久力を上げられる品などを少しな。護り手が倒れれば戦線が崩れる」

ハクさんはいつでも冒険のことを考えてるなぁ。一緒に冒険する仲間のため、そんなハクさんがすごくかっこよく見える。
そう思っているとハクさんが長い布を取り出して私の首元に巻き付けてくれる。
一瞬何が起きたかわからなくなったけどわかった瞬間また体が熱くなった。

「えっと…ハクさんこれは?」

>「それと、最近は冷えるからな。外を歩く際には十分暖かくした方がいい」

「あ、ありがとうございます…」

首元に巻かれた布を両手で軽く握り、彼に向けて私なりの精一杯の笑顔を向けて答える。
その時がはっきりと彼の顔を見た。
彼の顔には薄っすらとではあるけど笑みが浮かんでいた。


ハクさんの了承も得て、二人で散策することになりました。
なんやかんやで二人で過ごすのも初めてだなぁと思いつつも、彼の横を歩いている。
ハクさん自身、口数が多い人じゃないし、たくさん話すということはあまり気にならない。

>「とはいえ、別段目的があったわけではないからな。ラティの方は、どこか行きたいところはないのか?」

歩き始めて少し間があったけど彼が口を開く。

「うーん…あ、そうでした!せっかく、こっちに戻ってきたので貯まったお金で両親に何かプレゼントでも贈ろうとしていたんですよ!」

少し考えて少し間があるけど本来の目的を思い出し、彼の手を握って行く予定だった店へと彼に案内を始める。
不思議とさっきまでの体の熱さと高揚した気持ちは収まっていて今はもうハクさんとのお買い物を楽しめるという気持ちが込み上げていた。

「それとこれから行くお店お店がここから少し離れた方にあるのでお話しながら行きましょう?」

と言ってもお店につくまで私が勝手に話すだけなんですけどね。私の生い立ちとか私の両親についてとかハクさんがいない時の冒険の話とかをね?

******
(PLより)
遅筆で申し訳ない。
改めて自分のことを知ってもらおうとお店につくまでは自分の話をする感じですね〜
基本友達以上の関係なら自分のことは何でも応えるので何でも聞いちゃってくださいw

確かにただの布はセーフですねw>首に巻くものを贈る

[26] 繋いだ手

投稿者: ハク
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=34amp;ukey=1

 
>「うーん…あ、そうでした!せっかく、こっちに戻ってきたので貯まったお金で両親に何かプレゼントでも贈ろうとしていたんですよ!」

そう言って、彼女が俺の手を取る。
……手を引かれるなど、いつ以来だろうか。おそらくは、幼い頃に親にされたきりだな。
引かれるままに歩き出しつつ、また少し、くすぐったさを覚える心地に喉の奥で小さく笑う。

ああ、怪訝な顔をさせてしまった。

「いや、手を引かれるなど幼い頃の親以来だと思ったら、少々懐かしくてな」

そのとたん、ポンという音と湯気とを幻視したような気がした。
慌てたように離されようとする手を逆に繋ぎかえす。
今度は、指を絡めるようにしてしっかりと。

「離さないでくれ。店まで案内してくれるんだろう?」

おそらく葛藤はしつつも、そんな願いに頷いてくれる彼女は、本当に可愛らしい。



「ご両親はこの辺りにお住まいなのか?」

そんな問いかけをしたのは、それからしばらく歩いた頃。
返答する彼女の様子も、先とは違って落ち着いたものだ。
店に着くまで、と言って、彼女は自分のことを話してくれる。
家族のこと、日々のこと、幼い頃の思い出のこと。
その中で、蛮族に出くわしたという話には、流石に肝を冷やされた。

「……その、冒険者の男には、俺も感謝しなければいけないな。おかげで、今、ラティとこうしていることが出来る」

繋いだままの柔らかな手を、僅かに強めに握る。
また少し体温が上がったかもしれないその手は、けれども今度は、離そうとはされない。
そんな様子を、目を細めながら見つめた。


確かめると、店まではもう少しあるようだ。

「しかし、贈り物とは、いいな。俺も何か贈るか。荷ならば拒まれることもないだろう」

つい呟いた内容だったが、ラティにはまた怪訝げなような、聞くのを躊躇うような表情をさせてしまったようだ。

「すまん。気を使わせてしまったな。大丈夫だ」

一度足を止め、繋いでないほうの手で彼女の髪をそっと撫でる。
安心させるように、ゆっくりと。


「そうだな……楽しい話にはならないかもしれないが、俺のことも聞いてくれるか」

彼女には、あの奈落をめぐる戦いで、呪印についても少しは知られている。
今後また、ともにあの地に立つこともきっとあるだろう。
ならば、知っていた方がいい部分もあるかもしれない。

だがまぁ、そんな理屈は本当は重要ではなくて。


ただ、単に。
彼女には、自分のことを知っていて欲しかったのかもしれない。


*************
(PLより)
ただの製糖製造機でした!!(爆) 申し訳ない……!!
でも愛だけは詰まってますので!!(笑) ←それがあかんのでは…w

ハクも少し昔の話をしたいようです^^
特にこれは台詞で聞きたい! ってことなどがあれば是非尋ねてやってください(笑)
 

[27] 触れ合う心

投稿者: ラティーナ・ルベライト

私が手を繋いだ時、ハクさんが小さく笑った様な気がした。何を思って笑ったのかなんて私は知らない。いや、知る由がない。自然と首を傾けて何故だろうと思った。
そんな私に気がついたのか彼は

>「いや、手を引かれるなど幼い頃の親以来だと思ったら、少々懐かしくてな」

え?親以来で私が…は、初めて!?

彼の言葉に今日何度目かわからない体の火照りを感じた。手を離しかけたが彼が慌てたように手を繋いでくる。それも指を絡ませるように。

>「離さないでくれ。店まで案内してくれるんだろう?」

「は、はい…」

返事をするのがやっとだったけどようやく落ち着いてきた。


歩き始めて少し経った頃、ハクさんがふと問いかけてくる。

>「ご両親はこの辺りにお住いなのか?」

「そうですね、商店街から近いここら辺に両親と3人で住んでますよ。」

問いに答えると、返答を確認して、私はまた私自身の話を戻す。

蛮族に襲われた話をした時は自分自身でも分かるくらいに少しだが声が震えていた。トラウマって物は完全に消え去るまで時間がかかるんだなって改めて実感した。

その話を聞いた時、彼は少し驚いたような表情をしたようだ。そんな体験をしたのに明るく振舞っているのだから意外と思われるのも無理もない。

>「……その、冒険者の男には、俺も感謝しなければいけないな。おかげで、今、ラティとこうしていることが出来る」

繋がれた手はとても温かい。先程の寒さはどこかへ行ってしまったか分からない程に、彼の手から僅かだが力を入れたのを感じ取れた。それのお返し…とは言わないが私も握る手を少し強めに握る。

>「しかし、贈り物とは、いいな。俺も何か贈るか。荷ならば拒まれることもないだろう」

とても小さな呟きだったが、獣の耳はそれを聞き逃さない。しかし、これは聞き返しても良いのでしょうか?

>「すまん。気を使わせてしまったな。大丈夫だ」

彼が歩みを止め、それにつられて私も歩みが止まる。彼は私の髪をゆっくりと撫でる。

「ハクさん、私の髪を撫でるのそんなに好きなんですか?」

少し呆れ気味に言ってしまったが、実際のところどうなのか気になるところではあった。


>「そうだな……楽しい話にはならないかもしれないが、俺のことも聞いてくれるか」

再び歩き始め、ハクさんはいつも通り淡々と自分自身について話し始める。
出身は未開の地にある閉鎖的な部族であり、奈落や蛮族との戦いは常であること。
冒険者になるまでの私とは真反対の生活を送ってきたことがわかる。それだけで体が震える程いたたまれない気持ちになった。
そして本題である彼の目には魔法が掛けられており、『剥奪の紋』と呼ばれているらしい。
解呪方法は今の所見つかっていないらしい
私はその事を聞いて改めて彼の問題を解決する手伝いがしたいと思った。
そこでふと思った。

「そう言えば、ハーヴェスに来てからどこで寝泊まりしてるんです?あ、いや…故郷に帰れないだけであって宿とか普通に大丈夫な感じなんですかね?」

少し拙い考察を出しつつ、彼の『剥奪の紋』の効果について考えて見たが、正直私にはわからない。多分ハクさん自身も詳しくは分かっていないのであろう。


私は話を切り、別の事について問う。

「ハクって名前は偽名だったんですね…」

彼は表情はあまり変わらないがすまないと言っているような感じがする。

「まぁ、別に良いんですけどね!私の中じゃ、ハクさんはハクさんなんです。」

そう言うと私は彼に背を向け、手を引きながら前を歩く。そして数歩進むと止まって彼の方に自然溢れた笑顔で向き直り、

「とは言っても今更本名を聞いたとしてもそっちでは呼ばないですけどね!」

そして私は繋いだ手を顔に近づけ、彼の手の甲に軽く口付けをする。終えて彼に顔を向けて

「髪のお返しです。」

と悪戯っぽく笑う。

**********
(PLより)
製糖製造機に成り果てましたw甘過ぎて糖尿病になりそうですはいw
愛が詰まってればそれでいいのです。てぇてぇはPLを救うのです。

これを書く為に仕事を犠牲にしてきましたw←ダメな人
アイデアが降りてきたからね仕方ないね(殴)

[28] 告白

投稿者: ハク
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=34amp;ukey=1

 
「俺の故郷は、ここからは大分遠い、奥地の小さな部落になる」


並んで歩きながら、ぽつぽつと故郷の話をする。
隠しているわけでもないが、今まで誰かに話すという機会はなかったことだ。


樹神ダリオンの教えに基づく、小さな部落。
開けた地ではない故に、そこには奈落や蛮族の脅威が絶えず、村を守ることは戦士の大切な役目であった。
戦士は子供たちにとってあこがれの職でもあり、部族に生まれた男児は勿論、女児も約半数は将来戦士となることを目指す。俺も例には漏れず、十五の年に戦士となった。

だが、二十歳を過ぎて何年かした頃、俺は呪いのようなものに蝕まれた。
その時のことは記憶になく、詳細も犯人も分からない。ただ、その日を境に村の土を踏むことが出来なくなった。
物理的にな。結界か何かでもあるように、村境から一歩たりとも入ることができない。
暫くは、村の外で支援を受けて野営をしながら様子を見たが、治る気配はなかった。


「だから、俺は旅に出ることにした」

解呪の方法を求めて、このハーヴェスまでやってきた。
まだ解決には至らないが、<守り人>に呼ばれた遠い地での奈落との戦いの中で、少しずつ、その詳細や解決への糸口も見え始めている。

と、そこまで話し終えた時、ラティがふと気づいた、という風に尋ねてきた。


>「そう言えば、ハーヴェスに来てからどこで寝泊まりしてるんです?あ、いや…故郷に帰れないだけであって宿とか普通に大丈夫な感じなんですかね?」


「長期間の滞在をするには宿は割高だからな。週払いの一間貸しを利用している。呪いについては細かいところは分からないが、働いている様子はないぞ。まぁ、故郷とは違い、あくまで仮宿といった認識だからな……そのあたりが関係しているのか、どうか」

おのずと眉根が寄る。
少しずつ判明してきているとはいえ、まだまだ仔細は分からぬままなのだ。


しばらく沈黙が降り、再びラティが切り出してきた。


>「ハクって名前は偽名だったんですね…」

偽名、というのは、少なくとも俺たちの部族の認識上は正しくない。
字(あざな)は、その人を呼ぶための呼称であり、これもれっきとした個人の持つ名前である。
俺達は、秘する本来の名と、呼び合うための字と、名をふたつ持つのだ。
だがまぁ、本名でないことには違いはないため、外部の者が偽名だ認識するのを否定はできないだろう。


>「まぁ、別に良いんですけどね!私の中じゃ、ハクさんはハクさんなんです。」
>「とは言っても今更本名を聞いたとしてもそっちでは呼ばないですけどね!」

言われて、今度こそ苦笑が浮かぶ。
告げた後にその名を呼ばれないことほど情けないことも無いものなのだが、さて、どう説明したものだろうか。

と、思索を始めた矢先、寄越された可愛らしい不意打ちは。
「お返し」だなどと、悪戯気に笑うその笑顔は。
一応、自制を心掛けていた俺のそのタガを外すには十分すぎた、と主張しておきたい。


「ラティ」

繋いだ手をぐい、と逆に引き戻して自身の左胸の上へ。

「俺達の部族では、本来の名は、つけた両親の他には兄弟姉妹にすら明かすことはない」

もう片手も彼女の腰に回して、軽く抱き寄せる。力は込めないが、逃がさないと示すように。
そうして詰めた距離で、少し落とした声音で囁くように告げた。

「名を告げることは、この心臓を捧げるという意味だ。生涯を共にすると定めた相手にだけ行う。つまり、未婚の男女の間で行われれば、それは求婚という意味合いになる」

彼女は動揺していることだろう。それはそうだ、突然すぎる。
年相応な素直な反応は本当に可愛らしいし、かなり年上の身としては多少の罪悪感もありはするが。
だが、話をふってきたのもタガを外したのもラティである以上、半分程度は自業自得と諦めて貰いたい。


「――――さて、ラティーナ。時期尚早と思っていたのだが、俺の名を受け取って貰えるだろうか?」

彼女の動揺は激しくなるばかりだ。というより、これは半ばパニックになっているのかもしれない。
可愛い。本当に愛らしい。
自然と上がる口角をそのままに、俺はその様を堪能する。
我ながら少々意地が悪いな。こんな部分があったとは、この年にもなって新たな発見である。

そして、十分に堪能の間をおいてから、笑って告げた。

「……ッははは! すまない、先の『お返し返し』だ。今急く気はない」

声を上げて笑うなど、滅多にない。
すぐにはおさまらない笑いの衝動を何とかおさめつつ、淡く染まる耳元に吹き込むように小さく続ける。


「――――だが、いずれはと思っているのは本当だ。ラティも、そのつもりで返事は考えておいて欲しい」



*************
(PLより)
製糖極まる。
直接的な言葉は含んでいませんが、告白です(キリッ
名前とか問われたら、まぁこうなっちゃいますよね!!!(笑)
ラティちゃんの反応が実に楽しみです〜(によによ

今回、告白周りをどうしようか結構悩んでましたw 結局しましたがww
遅筆ではありますが、今後もどうぞよろしくお願いします。
 

[29] 私の答え

投稿者: ラティーナ・ルベライト
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=14amp;ukey=0

>「ラティ」


繋がれた手を引かれ、私は彼の胸の上に引き寄せられる。今までで一番ハクさんの顔が近い。
心臓が爆発しそうな位のこの気持ち…いや、これは本能に近い物なのかもしれない。私のこの気持ちは…
この状況でなければ自分の胸に手を置き、深呼吸して心を落ち着かせるところですが、それは叶わない。


>「俺達の部族では、本来の名は、つけた両親の他には兄弟姉妹にすら明かすことはない」


彼の手は私の腰に手を回し、抱き寄せてくる。そして耳元にいつもより声を落として、


>「名を告げることは、この心臓を捧げるという意味だ。生涯を共にすると定めた相手にだけ行う。つまり、未婚の男女の間に行われれば、それは求婚という意味合いになる。」


胸の高鳴りが加速する。彼からの【求婚】と言う言葉。それは私の心と思考を乱れさせる。
この気持ちこそが恋なのだとはっきりと自覚することになる。


>「――――さて、ラティーナ。時期尚早と思っていたのだが、俺の名を受け取って貰えるだろうか?」


彼の……ハクさんの本当の名前を受け取ると言う事は私と結婚すると言う事。つまり――――


――――ハクさんも私のことが好きだったんですね。


乱れた思考。そんな中でハクさんの言葉から私が導いた彼の気持ち。私はとても嬉しくなる。
彼の物になると言うのはおかしいけど、もしそうなったら嬉しすぎて死んでしまうかもしれない。
気持ちが落ち着いてきて、私は彼の顔を見つめる。彼の口角が少し上がっていたと思いきや、突然笑い出した。

>「……ッははは! すまない、先の『お返し返し』だ。今急く気はない」


「ハクさんの意地悪…」

顔を彼の胸にもたれ掛かり、聞こえるか聞こえないか分からない位の小さくで呟く。その顔は緩み切っていることはわからないと思う…わからないよね?それと私の尻尾、今揺れてないよね?
そんなことを考えているとハクさんは私の耳元に続けて


>「――――だが、いずれはと思っているのは本当だ。ラティも、そのつもりで返事は考えておいて欲しい」


そのつもりで返事を…ですか。
私はもたれ掛かっていた顔を上げて、照れ隠しをするように不自然な笑顔で答える。


「返事はもう決まってます。私、ラティーナ・ルベライトはその日が来るまで待ってます。」


今は保留にしておいておくのが一番の最適解だと私は考え、彼に返事をする。答えた後、いつまでもここにいてもしょうがないなと思い、お店のある方向へと顔を向けようとしましたが、同時に視線を感じ、辺りを見回す。
こちらに温かい目で見ている通りすがりの人がちらほらといることに気付き、途端に恥ずかしくなる。
私は腰に添えられた彼の腕を軽く握る。多分恥ずかしさで顔が赤くなっていると思うけど彼に告げる。


「ハクさん…そのそろそろお店の方に行きましょう?えっと…人目が少し気になってきました…」


******
(PLより)
遅筆失礼しますねぇ。
返しを考えるのに悩みに悩みましたw
答えは保留って感じにしたかったんですがこれ遠回しにOKしてるかも?
やはり、まだまだ拙い感じがぬぐえない…


このままだとずっと進まないような気がしたので少し促す感じにしましたw
こちらこそ今後もよろしくお願いします。

[33] 歩み出す未来

投稿者: ハク
http://bbs.swordworldweb.net/bbs2.5/pc-list2.5/patio.cgi?read=34amp;ukey=1


>「返事はもう決まってます。私、ラティーナ・ルベライトはその日が来るまで待ってます。」

小さくはにかむようにしてラティが告げる。
その答えは、自惚れでないのならば、承諾と同義だろうと思われた。
胸の裡が熱くなるのを感じる。
そのまま、確固とした関係性を約束したい想いに駆られるが、――――今は、まだ駄目だ。
“剥奪の紋”がいつ、どう作用を及ぼしてしまうかわからない今は、まだ約束はできない。

思いとどまることにここまで精神力を使うのかと、思わず自身に少し呆れながら口を開いた。


「ありがとう。ラティ」

囁く言葉に彼女の頬が赤くなる。
暫くそのまま腕の内の温もりを楽しんでいると、ラティが身じろぎをはじめ、恥ずかし気に言ってきた。


>「ハクさん…そのそろそろお店の方に行きましょう?えっと…人目が少し気になってきました…」

……人目?
見やれば、確かにちらほらと目線が投げられている。
寒い時期で人通りは少なめとはいえ、ここは大通りの一つ。長く立ち止まっていればまぁ、さもありなんという所だろう。

――――別に、俺は気にはならないが。

別段、悪いことをしてるわけではないし、通行の邪魔というほどでもない。
もう少し恥ずかしがるラティを堪能したいという悪戯心も沸いては来るが。あまりやり過ぎれば、流石に怒られてしまうだろうか。
何事もほどほどは肝要である。


「そうだな」

よそ見したままの隙だらけの額に一度、軽く唇を落とす。
驚く彼女の顔が再び赤く染まるのを楽しみながら、腕を解いて先と同じように手を繋ぎなおした。


「では、向かおうか」

淡く笑みを浮かべながら、ゆっくりと手を引いて歩きだす。
案内のために小走りで前に位置を変えるラティを見やりながら、幸せだな、と思った。



――――この幸せな時間が。日々がずっと続いていくように。

俺は祈り。呪いを解く決意を新たにしたのだった。



*************
(PLより)
完!!
としてもいいような形で一応しめてみました^^
アンサーSSをいれて〆にして頂いてもいいですし、お買い物シーンの描写など、やりたいネタがある場合はまだ続けて頂いても全然大丈夫です!^^

ラティが可愛くて可愛くて堪らないPLとハクさんです(笑)
つい、揶揄いたくなってしまいますねー!w
 

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